高配当株に売り時はあるか|10年間ほとんど売っていない私の考え方
配当投資を10年続けていますが、私は買った株をほとんど売っていません。売り時を探すこと自体をやめたからです。ただし「売らない」は思考停止とは違います。それでも売るべきだと考えている5つの場面と、売らなくていい場面を整理しました。
「売り時はいつですか」への、正直な答え
株の話をしていると、必ず出てくる質問があります。
「その株、いつ売るんですか?」
私の答えは、たいていこうです。
「売る予定はありません」
投資歴10年、日本の高配当株を約150銘柄持っていますが、私は買った株をほとんど売っていません。というより、売り時を探すこと自体をやめました。
ただし、これは「何があっても絶対に売らない」という意味ではありません。むしろ以前、売るべきだった株を売れずに失敗したことがあります。
この記事では、なぜ基本的に売らないのか、それでも売るべきだと思う場面はどこか、そして売らないと売れないの違いについて書きます。
なぜ、基本的に売らないのか
理由はシンプルで、高配当株投資の目的が値上がり益ではないからです。
高配当株を買うのは、配当を受け取り続けるためです。株価が上がることも嬉しいですが、それは主目的ではありません。
ここで、当たり前ですが重要な事実があります。
売った瞬間、その株からの配当は永久に止まります。
株価が1.5倍になったから売る、という判断は、値上がり益を狙う投資では正解です。でも配当が目的なら、利益を確定させると同時に、収入源を手放していることになる。
私が目指しているのは「今も豊かに、かつ数年後のキャッシュフローに」という状態です。その観点では、配当を生み続けている株を売る理由が、そもそもありません。
「売らない」と決めておくメリット
方針として先に決めておくと、実務的な利点があります。
① 判断する回数が激減する
150銘柄それぞれについて「今が売り時か」を毎回考えていたら、投資が仕事になります。
私は会社員で、株の画面を1日中見ていられる立場ではありません。買うときだけ考えて、あとは持つと決めておくと、日常の判断がほぼゼロになります。
② 暴落で慌てて売らずに済む
相場が急落すると、「今売らないともっと下がる」という気持ちが必ず出てきます。
このとき、その場で考えると高い確率で判断を誤ります。あらかじめ「売らない」と決めておくのは、動揺した自分を信用しないための仕組みでもあります。
📖 暴落時の話 → 暴落時に「握り切る」ためにやっている3つのこと
③ 分散していると、そもそも動揺しない
私は150銘柄に分散しているので、1銘柄の比率がとても小さいです。どれかが悪くなっても全体はほとんど揺らがないので、慌てる場面自体が来にくい。
📖 分散について → 日本株150銘柄は分散しすぎ?
ただし、「売らない」は思考停止ではない
ここが、この記事でいちばん書きたい部分です。
以前、私は優待に惹かれて買った株を、優待が廃止されたあとも売れずに持ち続けたことがあります。株価は最安値で買値の半分になりました。
そのとき私は「自分は長期投資家だから」「売らない主義だから」と考えていました。でも振り返ると、それは方針ではなく、ただの言い訳でした。
私の「売らない」には、本来こういう前提があります。
- その企業を応援したいと思っている
- 配当を受け取り続けたい
- 業績が崩れたのではなく、株価が下がっているだけ
あの銘柄は、この前提がすべて崩れていました。優待は消え、配当はゼロ、応援したくて買ったわけでもない。前提が消えたのに、結論だけ流用していたわけです。
「売らない」と「売れない」は、まったく別のものです。
前者は判断であり、後者は判断からの逃避です。同じ「保有継続」でも、中身が違います。
📖 詳しくは → 優待廃止で株価が半値。それでも売れなかった私の失敗談
それでも売るべきだと思う、5つの場面
では、どういうときなら売るのか。私の中での基準は5つです。
① 買った理由が、完全に消えたとき
これが最優先の基準です。
その株を買ったとき、必ず理由があったはずです。配当利回りが魅力的だった、優待が欲しかった、事業を応援したかった。
その理由が消えたなら、持つ根拠もなくなっています。
優待目当てで買ったのに優待が廃止された。増配を期待して買ったのに減配方針に変わった。こういうときは、惰性ではなく判断として、売却を検討すべきです。
私が失敗したのは、まさにここでした。
② 減配・無配が続き、回復の見込みがないとき
一時的な減配で売る必要はありません。業績には波があります。
問題は、減配が続き、会社が配当を出す姿勢そのものを失ったように見えるときです。配当が入ってこない高配当株は、もはや高配当株ではありません。
判断のポイントは「今年下がったか」ではなく、「配当を出し続ける気があるか」です。
③ 業績や財務が、明確に崩れたとき
不正会計、大幅な赤字転落、財務の急激な悪化。こうした企業の土台が崩れる事態が起きたときは、株価が下がっているかどうかに関わらず、持ち続ける理由を考え直す必要があります。
株価の下落は「安く買える機会」かもしれませんが、土台の崩壊は別問題です。ここを混同すると、下がり続ける株を買い増し続けることになります。
📖 判断材料として → 配当性向は何%まで安全?
④ 生活でお金が必要になったとき
これは完全に正当な理由です。
投資は生活のためにやっているのであって、その逆ではありません。
医療費、家族の事情、転職や独立。お金が必要なら売ればいい。「投資家として負け」でも何でもありません。
ただしこれを避けるために、生活防衛資金は別に確保しておくのが前提です。私は年収分を現金で持っています。ここがあるから、相場に関係なく判断できます。
📖 → 生活防衛資金はいくら必要か
⑤ ポートフォリオが偏りすぎたとき
特定の銘柄やセクターが大きくなりすぎたときは、一部を売って調整することがあります。
ただし正直に言うと、私はこの理由で売ったことがほとんどありません。150銘柄に分散していると、そもそも1銘柄が突出しにくいからです。新しく買う銘柄で調整するほうが、私には自然でした。
逆に、売らなくていい場面
間違えやすいので、こちらも書いておきます。
| こういうとき | どうするか |
|---|---|
| 株価が下がった | 売らない。業績が無事なら、むしろ買い増し候補 |
| 株価が上がった | 売らない。配当は続く。利確したら収入源が消える |
| 含み損が出ている | 売らない。配当が入っているなら問題は起きていない |
| 一時的に減配した | すぐには売らない。次の方針を見てから |
| 相場全体が暴落した | 売らない。むしろ最悪のタイミング |
共通しているのは、株価の動きだけを理由に売らないということです。
株価が下がったから売る、上がったから売る——これは値上がり益を狙う投資の考え方です。配当を目的にしているなら、見るべきは株価ではなく、その会社が配当を出し続けられるかのほうです。
迷ったときの、たった1つの質問
売るかどうか迷ったとき、私が自分に聞くことがあります。
「今この株を1株も持っていないとして、今日この株を買うか?」
- 買う → 持ち続ける理由がある。売らなくていい
- 買わない → 持つ理由が消えている。売却を検討すべき
含み損があると、どうしても「戻るまで待とう」と考えてしまいます。でもこの質問は、買値を判断から切り離してくれます。
自分がいくらで買ったかは、その会社の将来とは何の関係もありません。過去の値段ではなく、今の中身で判断するための問いです。
失敗したあの銘柄も、この質問を自分にしていれば、答えは明確に「買わない」でした。
まとめ
- 高配当株の目的は配当を受け取り続けること。売れば収入源が消える
- 基本方針として「売らない」と決めておくと
- 判断の回数が激減する
- 暴落で慌てて売らずに済む
- ただし「売らない」と「売れない」は別物。後者は判断からの逃避
- それでも売るべき5つの場面
- 買った理由が完全に消えたとき(最優先の基準)
- 減配・無配が続き、回復の見込みがないとき
- 業績や財務が明確に崩れたとき
- 生活でお金が必要になったとき
- ポートフォリオが偏りすぎたとき
- 逆に、株価が上がった・下がった・含み損があるは売る理由にならない
- 迷ったら「今持っていないとして、今日買うか」と自分に聞く
売り時を探さなくていいのが、配当投資のいちばん気楽なところだと思っています。ただしそれは、持つ理由がある限りという条件つきです。
理由が消えたときだけは、ちゃんと判断する。それだけ守っておけば、あとは持ち続けて大丈夫です 🌱
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日本株は1株から購入できます。少額で買っておけば、売り時に悩むこともなく、配当を受け取りながら長く持ち続けられます。