優待廃止で株価が半値。それでも売れなかった私の失敗談
株主優待に惹かれて買った銘柄が、購入から半年で優待廃止。株価は最安値で買値の半分になりました。本当の失敗は買ったことではなく、持つ理由を失った株を売れなかったことです。投資歴10年の私が損切りできなかった理由を、正直に分解します。
私の口座には、持つ理由を失った株がある
配当投資の話をするとき、私はよく「一度買ったら基本売らない」と書いています。実際そのスタンスで10年やってきました。
ただ、この言葉には都合のいい使い方があります。
売らないと売れないは、まったく別のものです。そして私は数年前、後者をやらかしました。持っている理由がとっくに消えた株を、ただ損を認めたくないという一点だけで抱え続けたのです。
今回は、その話を書きます。銘柄選びの失敗というより、自分の頭の中で起きた失敗の記録です。
何が起きたのか(事実だけ、先に)
先に事実関係だけ、短くまとめておきます。
2024年の2月ごろ、私は株主優待に惹かれてある銘柄を1株だけ買いました。物流系のラストワンマイルという会社です。
そのとき提示されていた優待は、こういう内容でした。
- 1株以上を一定期間保有でギフト券がもらえる
- 年2回の権利確定
株価は4000円ほど。私の約定は3985円でした。1株の投資額に対して、年間でもらえる優待額の割合を計算すると、50%近い水準になります。単元未満でこの数字を出している銘柄は、そうそうありません。
そして半年後。
- 2024年7月12日 — 会社が株主優待の廃止を発表
- 同じ年の夏、株価は2900円台まで下落(私の買値から3割近い下げ)
- その後さらに下げ、最安値では買値のおよそ半分
- 当時この会社は配当を出していなかった(無配)
補足すると、この優待は2023年10月に新設されたばかりでした。始まって1年経たずに終わったことになります。
事実としてはこれだけです。ここまでは、正直よくある話だと思います。問題はここからの私の行動でした。
本題:なぜ、私は売らなかったのか
優待は消えました。配当も出ていません。株価は下がり続けています。
この株を持っている理由は、一つも残っていませんでした。
それでも私は売りませんでした。しかも「熟考した末に保有継続を決めた」わけではありません。判断すること自体から逃げていたというのが正確です。
当時の自分の頭の中を、今なら3つに分解できます。
① 損を確定させるのが、単純に嫌だった
これが8割です。
画面上の含み損は、まだ「なかったこと」にできます。でも売った瞬間、それは確定した損失という動かせない事実になる。
不思議なもので、同じ金額なのに、確定させた損のほうが痛く感じるんです。人間はもともとそういう風にできているらしく、私も例外ではありませんでした。
そして厄介なことに、売らずに持っていれば損は確定しないというのは、理屈の上では正しいのです。正しいからこそ、逃げ道として完璧に機能してしまいました。
② 金額が小さすぎて、本気で向き合わなかった
1株です。数千円です。
「これくらいの金額なら、まあいいか」
……この感覚が、実はかなり危なかったと思っています。
金額が小さいおかげで実害は軽く済んだのですが、同時に小さいがゆえに、真剣に判断する対象から外れてしまった。損切りするか持ち続けるかを一度もきちんと考えないまま、口座の隅で放置されていました。
もしこれが100株、40万円だったら、私は嫌でも向き合ったはずです。金額の小ささが、思考停止の言い訳になっていたわけです。
③ 自分の投資方針を、都合よく持ち出した
これがいちばん恥ずかしい部分です。
私は普段から「一度買ったら基本売らない」と言っています。長期保有こそが配当投資の要だと、本気で思っています。
でも、このときの私はその言葉を免罪符として使いました。
「自分は長期投資家だから」「売らない主義だから」——そう言っておけば、判断しなかったことを正当化できます。
ただ、私の「売らない」には本来こういう前提がありました。
- その企業を応援したいと思っている
- 配当を受け取り続けたい
- 業績が悪化したわけではなく、株価が下がっているだけ
ラストワンマイルは、このどれ一つとして当てはまっていませんでした。応援したくて買ったわけではなく、優待の数字に惹かれて買った。その優待は消えた。配当もない。
前提が全部崩れているのに、結論だけ流用していたのです。これはもう投資方針ではなく、ただの現状維持です。
同じことを、もう一度やっていた
しかもこれ、私にとって初めてではありませんでした。
上新電機です。
この銘柄はかつて、1株持っているだけで買物優待券がもらえることで有名でした。1株優待の代表格として紹介されることも多く、私もそれ目当てで1株持っていました。
そして、この単元未満株向けの優待は廃止されました。
このときも私は同じでした。優待という持つ理由がなくなったのに、特に何も考えず、そのまま置きっぱなし。一度目を教訓にできていなかったということです。
📖 1株優待そのものについては、こちらで詳しく書いています → 1株だけで株主優待がもらえる銘柄
買う前の私に、伝えたいこと
では、どうすればよかったのか。反省を3つに整理します。
「利回りが高すぎる」は、警告として読む
投資額に対して年50%近く還元する優待が、この先ずっと続くと考えるのは、少し立ち止まればおかしいと分かります。株主が増えるほど、会社の負担がそのまま膨らんでいく仕組みだからです。
私はこの数字をチャンスとして読みました。本当は警告として読むべきでした。
これは高配当株選びでも完全に同じで、利回りが飛び抜けて高いときは、その裏に必ず理由があります。優待でも配当でも、判断の作法は変わりません。
📖 配当で同じ失敗をしないために → 配当性向は何%まで安全?
優待は「企業がいつでもやめられるサービス」だと理解しておく
配当と違い、株主優待は企業の任意のサービスです。株主に約束された権利ではないので、方針が変われば止まります。
しかも近年は、優待を廃止して配当に一本化する企業が増えています。株主を平等に扱うという考え方からすれば、こちらのほうが筋が通っている面もあります。つまり優待は今後も減っていく方向だと考えておくのが現実的です。
ラストワンマイルのように、新設から1年で終わることすらあります。優待を投資判断の柱にしてはいけません。
買う前に、たった一つだけ自問する
今の私が、優待銘柄を買う前に必ず自分に聞くことがあります。
この優待が明日なくなっても、私はこの株を持ち続けたいか。
イエスなら買います。ノーなら買いません。それだけです。
2024年2月の私は、この問いに答えられませんでした。というより、そもそも会社のことを何も見ていなかった。業績も、配当方針も、どんな事業をしているのかすら、ろくに調べずに注文を出していました。見ていたのは優待の数字だけです。
これでは失敗して当然でした。
📖 銘柄をどう選ぶか → 日本高配当株の選び方:初心者が最初に買うべき1銘柄
いま、優待とどう付き合っているか
念のため書いておくと、私は今でも優待株を持っています。優待そのものを否定するつもりはありません。
私の本命は楽天グループです。100株保有で楽天モバイルのSIMが1年間無料になる優待があり、通信費が年間1万円以上浮きます。これは生活に直接効く優待です。
ただし、この銘柄も優待がなくなっても持ち続けるつもりで買っています。楽天経済圏を日常的に使っていて、企業として応援したいと思っているからです。優待はあくまで上乗せ分。
言い方を変えると、私の中での位置づけはこうなりました。
- 配当と業績 — これで銘柄を決める
- 優待 — あれば嬉しい、消えても本体は揺らがない
失敗したときの私は、この順番が完全に逆でした。
それでも「まず1株」は続けます
最後に、この失敗の唯一の救いについて。
傷が浅く済んだのは、1株しか買わなかったからです。
もし勢いのまま100株買っていたら、半値になった時点で20万円近い含み損。今ここで笑って書ける話ではなくなっていたはずです。
私が普段から「気になったらまず1株」と言い続けているのは、まさにこういう場面のためです。判断を間違えても数千円で済み、しかも実際に株主になってみないと分からないことが学べる。
今回で言えば、私は4000円で「優待の数字だけを見て買うと、どうなるか」を身をもって覚えました。授業料としては、かなり安いほうだと思っています。
📖 1株から始める方法 → 単元未満株(かぶミニ)の始め方
まとめ
- 優待に惹かれて1株購入 → 半年で優待廃止、株価は最安値で買値の半分に、しかも当時は無配
- ただし本当の失敗は、買ったことではなく持つ理由が消えた株を売れなかったこと
- 売れなかった理由は3つ
- 損の確定を避けたかった
- 金額が小さく、判断そのものを放置した
- 売らない主義を言い訳に使った(前提が崩れているのに結論だけ流用)
- 上新電機の1株優待廃止でも、まったく同じことをしていた
- 学んだこと
- 利回りが高すぎる優待はチャンスではなく警告
- 優待は企業がいつでもやめられるサービス
- この優待が消えても持ちたいかを、買う前に自問する
- 助かったのは1株だったから。小さく試す意味はここにある
「売らない」と決めているつもりで、実は「売れない」だけだった。この2つを見分けられるようになったことが、たぶん今回いちばんの収穫です。
失敗しても、1株なら立て直せます。だから最初は、小さく始めてください 🌱
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気になった銘柄を1株から購入できるので、判断を間違えても数千円。優待や配当を実際に受け取りながら、自分に合う銘柄を見極められます。