VYMはおすすめしない?最初に買った私が、言われている理由を検証します
米国高配当ETFの王道VYM。ただ「おすすめしない」という意見も見かけます。利回りが物足りない、SCHDに増配で劣る、指数に近い。その3つの指摘を、実際にVYMを保有している私が検証します。保有ETFの中でVYMがいちばん成績が良かったという実データと、それでも今が買い時とは言えない理由まで書きます。
「VYMはおすすめしない」と言われる理由
米国の高配当ETFを調べると、VYMは必ず候補に挙がります。バンガードが運用する、この分野の王道と言っていい商品です。
ところが同時に、「VYMはおすすめしない」という意見も見かけます。
先に私の立場を書いておくと、私が最初に買った米国ETFはVYMです。今も保有していますし、米国ETFの中ではもっとも多く持っています。
そのうえで、「おすすめしない」と言われる理由はどれも事実に基づいています。言いがかりではありません。ただ、そこから導かれる結論が人によって変わるだけです。
この記事では、よく挙がる3つの指摘を一つずつ検証し、最後に私の保有実績を数字で出します。
VYMがどういうETFか
検証の前に、基本だけ押さえます。
| 項目 | VYM |
|---|---|
| 運用会社 | バンガード |
| 投資対象 | 米国の高配当株 |
| 銘柄数 | 約400銘柄 |
| 分配金 | 年4回(四半期ごと) |
いちばんの特徴は、約400銘柄という分散の広さです。高配当ETFの中では群を抜いて多く、特定の銘柄や業種に偏りません。
📖 他のETFとの比較 → 米国高配当ETF 4本徹底比較
指摘①:利回りが物足りない
これは事実です。
VYMの利回りは、高配当ETFの中では控えめな部類に入ります。SPYDやHDVと比べると、見劣りする水準です。「高配当ETF」を謳っているのに利回りが低い、という指摘はもっともです。
でも、利回りの高さは安全性と裏表です
ここで思い出してほしいのが、なぜ利回りが高くなるのかです。
利回りは「配当 ÷ 株価」で決まります。つまり株価が低い銘柄ほど、利回りは高く出ます。そして株価が低いのには、たいてい理由があります。
実際、利回りの高さで人気のSPYDは、80銘柄を均等配分する設計でセクターの偏りが大きく、不況時に減配しやすいという弱点があります。
📖 その検証 → SPYDはおすすめしない?高利回りの魅力と単独保有が危険な理由
VYMの利回りが控えめなのは、財務の安定した大型株を広く持っているからです。これは欠点ではなく、設計の違いです。
指摘②:SCHDに増配ペースで劣る
これも事実です。
増配のペースや、配当込みの総合的なリターンで比較すると、SCHDがVYMを上回ってきたというデータがあります。「同じ高配当ETFを買うならSCHDのほうがいい」という意見には、根拠があります。
ただし、設計思想が違います
SCHDは約100銘柄に厳選するETFです。財務の質や増配の実績で絞り込むぶん、成績は伸びやすい。
一方でこれは、選定基準が裏目に出たときの影響も大きいということです。100銘柄と400銘柄では、1銘柄あたりの比重がまったく違います。
私は両方を持っていますが、どちらが優れているというより、濃さの違いだと思っています。
📖 2本の比較 → SCHD vs VYM 徹底比較
指摘③:銘柄数が多すぎて、指数と変わらない
これは鋭い指摘です。
400銘柄まで分散すると、値動きは市場全体の指数に近づいていきます。「それならS&P500やオルカンを買えばいいのでは」という意見が出るのは自然です。
違うのは「お金を受け取るかどうか」
ただ、ここには決定的な違いがあります。
VYMは分配金を出しますが、オルカンやS&P500の投資信託は出しません。
同じように分散していても、現金が手元に入ってくるかどうかが違います。これは優劣ではなく、目的の違いです。
- 資産を最大化したい → インデックスのほうが効率的
- 今から配当を受け取りたい → VYMのような高配当ETF
📖 この論点 → VYMとオルカン、どっちを買う?両方持っている私が違いを比較
私のVYMは、保有ETFの中でいちばん成績が良い
ここで実データを出します。私が保有している米国高配当ETF3本の評価損益率です。
| 銘柄 | 評価損益率 |
|---|---|
| VYM | プラス34.8% |
| HDV | プラス19.4% |
| SPYD | プラス7.9% |
いちばん地味で、いちばん利回りの低いVYMが、結果としていちばん伸びていました。
利回りの高さで選んだSPYDは、3本の中でもっとも低い伸びです。これは偶然ではなく、利回りの高さと値上がりは両立しにくいという構造が出た結果だと思っています。
なお、この数字には分配金が含まれていません。株価の変動だけを見たものなので、実際のリターンはこれより上になります。
📖 米国株の保有を全部公開 → 【保有公開】米国株8銘柄の損益を全公開
ただし「今が買い時か」は、まったく別の話です
ここは誤解されたくないので、はっきり書きます。
成績が良かったことと、今から買うべきかは別の問題です。
私がVYMを買ったときの平均取得価額は116.95ドルでした。現在値は157.68ドルです。約1.35倍になっています。
含み益としては嬉しいのですが、これから買う人の立場で見ると、条件は悪くなっています。
| 私が買ったとき | 今 | |
|---|---|---|
| 1株の値段 | 116.95ドル | 157.68ドル |
| 同じ分配金を得るのに必要な額 | — | 約1.35倍 |
分配金が変わらないと仮定すれば、今買う人の利回りは、私が買ったときより3割近く低い計算になります。
高配当ETFを買う目的は分配金です。高いときに買えば、その分だけ利回りは下がって固定されます。だから私自身、今はVYMを買い増していません。
📖 米国株を買い増していない理由 → 【保有公開】米国株8銘柄の損益を全公開|割高で買い増しできない今の記録
それでも「1株だけ買う」のはおすすめします
買い時ではない、と書いたうえで、ひとつだけ勧めたいことがあります。
まだ持っていないなら、1株だけ買っておくのはアリだと思っています。
理由は3つあります。
- 持つと情報が目に入るようになる。持っていない銘柄は、どれだけ気になっても結局追いません
- 分配金を実際に受け取れる。四半期ごとにいくら入るのか、税金がどう引かれるのかを体験できます
- 下がったときに動ける。すでに持っていれば、安くなった局面で買い増すだけです
1株なら数万円程度です。まとまった額を今の水準で入れるのは気が進まないが、1株で様子を見るなら話は別、という考え方です。
私が日本株でも米国株でも「気になったらまず1株」とやっているのは、まさにこのためです。買い時を待っている間に、その銘柄への関心が薄れてしまうのがいちばんもったいない。
📖 この考え方 → ミニ株(かぶミニ)とは?初心者が1株から日本株を買う方法と始め方
VYMが向いている人・向いていない人
検証を踏まえて整理します。
向いている人
- 米国高配当ETFを初めて買う
- 値動きの激しさより安定を重視したい
- 1本で広く分散しておきたい
- 利回りより減配しにくさを優先したい
最初の1本としてどれを選ぶかと言われれば、いまでもVYMが無難だと思っています。私自身がそうしました。
ただし繰り返しになりますが、それは「今まとめて買うべき」という意味ではありません。まず1株持って、分配金を受け取りながら様子を見るのが現実的だと思います。
向いていない人
- とにかく利回りを高くしたい → SPYDやHDVのほうが目的に合う
- トータルリターンを最大化したい → SCHDやS&P500のほうが効率的
- 配当を受け取る必要がない → 投資信託のインデックスで十分
つまり「おすすめしない」という意見は、こういう目的の人から見れば正しいわけです。VYMが悪いのではなく、合わない目的がある、という話です。
まとめ
- 「VYMはおすすめしない」と言われる3つの理由は、どれも事実に基づいている
- 利回りが控えめ → ただしそれは安定性と裏表
- SCHDに増配で劣る → ただし400銘柄と100銘柄では濃さが違う
- 指数に近い → ただし分配金が出る点が決定的に違う
- 私の保有実績では、VYMがいちばん伸びていた
- VYM プラス34.8% / HDV プラス19.4% / SPYD プラス7.9%
- 利回りの高さで選んだSPYDが、結果としては最下位
- 最初の1本ならVYMが無難。利回り最優先ならSPYDやHDV、総合リターン重視ならSCHD
- ただし今が買い時かは別の話
- 私の取得は116.95ドル、現在は157.68ドル。同じ分配金を得るのに約1.35倍かかる
- 今の水準でまとまった額を入れる気にはなれず、私も買い増していない
- それでも1株だけ買っておくのは勧めたい(情報が目に入る・分配金を体験できる・下がったときに動ける)
「おすすめしない」という言葉は、その人の目的が前提になっています。自分の目的が違うなら、結論も変わります。私にとっては、いちばん地味なVYMがいちばん良い結果を出してくれました 🌱
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主要な米国ETFは買付手数料が無料。1株から買えるので、まず少額で持って分配金を受け取ってみることができます。