増配の価値は「買値」に出る|連続増配株を持ち続けて分かったこと

減配は怖いけれど、実際には増配のほうがずっと多く起きています。三菱HCキャピタルやKDDIのような連続増配株を持ち続けると何が変わるのか。保有45銘柄の「取得利回り」を実際に計算して、売らずに持つことの意味を検証しました。


減配の話を書いたので、増配の話も

前回、減配されたときにどう判断しているかを書きました。日産自動車は無配になったので売り、ヤマハ発動機は減配されても売らなかった、という話です。

📖 前回の記事 → 減配されたらどうする?180銘柄持つ私が売った銘柄と、売らなかった銘柄

ただ、あの記事だけ読むと減配ばかり起きているように見えてしまうので、今回は逆の話を書きます。

実際のところ、減配より増配のほうが圧倒的に多いです。180銘柄ほど持っていて、減配をきっかけに売った銘柄は1つだけ。その一方で、毎年どこかが増配しています。

そして増配には、持ち続けた人だけが受け取れる効果があります。そこを数字で確かめてみました。

日本にも「連続増配」の銘柄がある

まず前提の話です。

日本株にも、何十年も連続で配当を増やし続けている企業があります。集計方法によって数え方は変わりますが、代表的なところはこうです。

企業連続増配
花王37期
SPK29期
三菱HCキャピタル28期(2027年3月期の予想が実現した場合)

このうち三菱HCキャピタルは、私も保有しています。2026年3月期時点で27期連続増配で、2027年3月期の予想どおりになれば28期連続になります。

ほかにも、保有銘柄の中に連続増配の常連がいます。

保有銘柄連続増配
三菱HCキャピタル27期(予想実現で28期)
KDDI24期(予想実現で25期)
SBIグローバルアセットマネジメント17期

意識して集めたわけではありません。高配当株を選んでいるうちに、結果的に混ざっていたというのが正直なところです。

なお連続増配の期数は、メディアや個人による集計が中心で、数え方によって数字が変わります。正確な記録は各社のIRページで確認してください。

📖 KDDIを含む通信3社の比較 → 3大通信株、買うならどれ?

増配の価値は「今の利回り」には出てこない

ここからが本題です。

株の情報サイトで見る配当利回りは、今の株価を基準に計算されています。

配当利回り = 1株配当 ÷ 今の株価

でも、株を持っている人にとって意味があるのは、こちらです。

取得利回り = 1株配当 ÷ 自分が買った値段

買値は、買った瞬間に固定されます。その後に増配があれば、分子だけが増えていく。つまり自分の利回りは、持っているだけで上がっていきます。

これは売らずに持ち続けた人だけが受け取れる効果です。途中で売ってしまえば、そこで止まります。

実際に計算してみました

自分の保有銘柄で、どのくらいの差があるのかを計算しました。配当データが揃っている45銘柄が対象です。

平均
取得利回り(自分の買値ベース)4.36%
現在の利回り(今の株価ベース)3.71%
差プラス0.65ポイント

そして45銘柄のうち35銘柄で、取得利回りが現在利回りを上回っていました。

個別に見ると、差が大きいものはこうです。

銘柄取得利回り現在利回り
第一生命ホールディングス6.45%3.82%
三菱商事4.87%2.66%
INPEX5.05%3.04%
アステラス製薬5.40%3.51%
MS&AD4.95%3.48%

いま三菱商事を買う人の利回りは2.66%ですが、私が受け取っている利回りは4.87%です。同じ銘柄、同じ配当なのに、買った時期が違うだけで倍近い差がついています。

ただし、正直に書いておきます

この数字には、注意して読むべき点があります。

取得利回りと現在利回りの差は、増配だけで生まれたものではありません。

計算式を見れば分かります。分子(1株配当)はどちらも同じで、違うのは分母だけです。

  • 取得利回り = 配当 ÷ 買値
  • 現在利回り = 配当 ÷ 今の株価

つまりこの差は、株価が上がった分を表しています。増配の効果を見るには、「買ったときの配当」と「今の配当」を比べる必要がありますが、その記録は手元にありません。

ですから、この4.36%という数字は「安く買えた結果」でもあるということです。増配の効果だけを取り出したものではありません。

そのうえで言えるのは、どちらの効果も「売らなかったから」得られているということです。株価が上がったのも、増配を受け取れているのも、持ち続けた結果です。

📖 売らない方針について → 高配当株に売り時はあるか

増配しそうな銘柄を、どう見るか

私が銘柄を見るときに確認しているのは、この3つです。

① 連続増配の記録があるか

過去に増配を続けてきた企業は、続ける可能性が高いと考えています。

理由は単純で、連続増配は企業にとって看板になっているからです。20期も30期も続けてきた記録を、簡単に手放す会社は多くありません。減配は「記録が途切れる」という意味を持つので、ぎりぎりまで避けようとします。

② 累進配当を掲げているか

累進配当とは、減配をせず、配当を維持または増配するという方針のことです。商社をはじめ、掲げる企業が増えてきました。

これは企業側の宣言であって、法的な約束ではありません。ただ、わざわざ公表している以上、簡単には破れないという圧力が働きます。

📖 商社株の比較 → 5大商社株、買うならどれ?

③ 配当性向に余裕があるか

利益のうち、どれだけを配当に回しているかの割合が配当性向です。

ここが高すぎる企業は、すでに限界まで出しているので、これ以上増やす余地がありません。むしろ業績が落ちたときに減配しやすい。

逆に配当性向に余裕があれば、利益が伸びた分を増配に回せます。増配を期待するなら、ここを見ておく価値があります。

📖 詳しくは → 配当性向は何%まで安全?危険ラインの見極め方

増配を待つには、持ち続けるしかない

結局のところ、増配の恩恵を受ける方法はひとつだけです。

売らずに持ち続けること。

連続増配株の記録が20期、30期と積み上がるということは、20年、30年持っていた人がいるということです。その人たちの取得利回りは、今の利回りとは比べものにならない水準になっているはずです。

私はまだ投資歴10年で、取得利回りで平均4.36%という段階です。ここから増配が積み重なれば、この数字はさらに上がっていきます。

配当投資で本当に効いてくるのは、銘柄選びより保有期間かもしれないと、計算してみて思いました。

まとめ

  • 減配より増配のほうがずっと多く起きている。減配で売った銘柄は180銘柄中1つだけ
  • 日本にも連続増配株がある(花王37期、SPK 29期、三菱HCキャピタル28期見込み)
  • 保有銘柄にも連続増配の常連がいた
    • 三菱HCキャピタル 27期、KDDI 24期、SBIグローバルアセットマネジメント 17期
  • 増配の価値は取得利回りに出る(1株配当 ÷ 自分の買値)
  • 実際に計算したところ
    • 45銘柄の平均取得利回り4.36%に対し、現在利回りは3.71%
    • 45銘柄中35銘柄で取得利回りのほうが高い
    • 三菱商事は現在2.66%だが、私の取得利回りは4.87%
  • ただしこの差は株価上昇の効果も含む。増配だけを取り出した数字ではない
  • 増配しそうな銘柄を見る3点
    • 連続増配の記録があるか
    • 累進配当を掲げているか
    • 配当性向に余裕があるか

買った瞬間に、買値は固定されます。そのあと配当が増えるかどうかは企業次第ですが、増えた分をまるごと受け取れるのは、持ち続けた人だけです 🌱

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